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1973年のマイルスデイビス

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1973年、いよいよ機は熟した!
 
帝王は最高のアイテムを入手した。
それは1973年デーブリーブマンとピートコージーの獲得である。
 
帝王の目指すべき方向はジャズではない。
無論ロックでもなく、ファンクでもない。
全ての手法を加えて、醸成させたマイルスのマイルスの為のマイルスサウンド。
 
当時のアナウンスに
ステージ前 「コンテンポラリーミュージックin Miles Davis Group」iと紹介されいる場面を聞く。
確か、ベルリンでのステージ。
 
マイルスは「今の音」、「今、表現したい音」を出しているだけなので、
それがどんなジャンルだろうが帝王にとってはどうでもいいことなのだけど、
このアナウンスはまさに言い当てていると思う。
 
「今の音」。
それは、簡単に言うけど、人の耳と言うのは過去の慣れからそう簡単に受け入れてくれはしない。
帝王の最高期の音。
ズバリ、1973~75年はマイルス最高期です!
 
当時のマイルスのレコードがゴッホの絵のように売れなかったのは、
歴史は傑作を簡単には受け入れはしない。ことを意味するのであろうか。
 
さて、帝王は最強のアイテムを引っさげてワールドツアーに出る。
その記念すべき最初が73年6月19日本「新宿厚生年金ホール」。
 
初っ端の曲は「ターンアラウンドフレーズ」
実は題名は無い。
いつの頃からか、マイルスの曲名は不明になった。
便宜上、「ターンアラウンドフレーズ」と呼ばれた曲は、あるフレーズをターンアラウンドすることが
決まりとなった曲と言う意味で、
この頃のマイルスはあるフレーズだけをバンド間で決めて、
リズムやテンポを自在に変化させつつ、インプロヴィゼーションを展開すると言う手法で曲構成をしていた。
曲展開が自由自在に行えることにより、
同じ曲でも
ヤルたびに違う展開になってしまう訳で、
マイルスのステージは毎回違う様相を示す。
つまり、バンドの好調不調もあるわけなのだが、
同じ曲でも、1曲10分だったり、日によっては下手すると40分以上やったりしちゃうわけなんですよ。
けど、マイルスの恐ろしい所はドラムソロやベースソロは一切やらせない。 
バンドとして、醸成しない場合、適当に切り上げて、知らぬ間に別のフレーズの曲に移行してしまう。
毎回、ブッチギリ休みなしのステージが90~120分、繰り広げられるので、
聞いているほうも、正直ヘトヘトになるのだが、
このヘトヘトへ感は毎回、新鮮♪
 
さて、ワールドツアー初日新宿の翌日も新宿なのだが、
マイルスバンドは同曲であっても、展開が全く違う表情を見せるので、
追っかけ甲斐があると言うか、
パターン化されないマイルスバンドはいつでも新鮮な刺身みたいなもんで、
昨日のマグロは、大間産ならば、
今日のマグロは、千葉沖なのか、
そんな楽しみがあるわけなんですよ♪♪
 
げに恐ろしき
フリーフォームバンド。
 
フリーフォームでありながら、
フリーには成らない。
フリー化してるけど、フリーではない。
その理由は、このバンドには指揮者が居るからなのだ。
このバンドが稀有なのは、コンダクター付きだからなのだ!
コンダクターの名は「マイルスデイビス!!」
 
フリーハンドで書かれた絵を毎回見せられるような、ワクワク感。
その構図はマイルス次第だが、
向かうべき方向はいつも一緒だ、
それは強烈な「コンテンポラリーミュージック!」
つまり、マイルスがやりたいマイルスの為のマイルスサウンドなのだ。!
 
乗り乗りの帝王は73年の後半をこの必殺のメンツでワールドツアーに費やすのであります。
そして、74年~75年前半まで、怒涛のツアー。
帝王絶頂期はまだまだ続くのであります。
 
 
     帝王必殺のメンツ
マイルスデイビス      tp, key
デーブリーブマン            ts, ss, fl
ピートコージー               g, per
レジールーカス               g
マイケルヘンダーソン       b
アルフォスター               ds
ムトゥーメ                      per
 
 
 
 
※1973年の日本公演は公式盤では発売されていません
海賊盤で入手可能。
 
 
 
 
 
 
今、思うに私が欲しいのは、ジャズでは無いのだと思う。
ジャズの範疇にマイルスとコルトレーンが居たと言うにすぎないのであろう。
それゆえ、他のジャズメンにほとんど興味が無い。
この2人は、自分のための今の自分のやりたいコンテンポラリーミュージックをやってただけだったのだろう。
そう、2人の共通点は
「決して後戻りしないこと」だった。
 
 
 
 
 

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